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殺し屋なのに、妻には逆らえない。
冷酷なプロフェッショナルなのに、家庭では気弱なお父さん。
そんなギャップ満載の男・兜(カブト)が主人公の伊坂幸太郎『AX(アックス)』。
ハードボイルドなのにどこかユーモラスで、じわりとあたたかい読後感が残る作品です。
短編集のような構成でテンポよく読めるのも魅力。
物騒な世界観を背景にしながらも、「家族っていいな」としみじみ思わせてくれる、優しい物語でもあります。
書籍の基本情報
- 著者:伊坂幸太郎
- 出版社:角川文庫
- 出版年:2020年
- ページ数:384ページ
- 映像化:なし
こんな人におすすめ
- 家族愛のある物語をユーモアと一緒に楽しみたい人
- 伊坂幸太郎の「伏線×人間ドラマ」が好きな人
- 短編っぽく読める構成で、テンポよく読書したい人
あらすじ(ネタバレなし)
『AX(アックス)』の主人公は、“兜(カブト)”という伝説の殺し屋。
プロの仕事人として冷酷な一面を持つ彼ですが、家庭では妻にビクビクする気弱な夫でもあります。
そんな彼の日常と非日常が交差する中で描かれるのは、「家族を守る」という覚悟、そして「自分は何者として生きるか」という静かな問い。
物語は短編集のような構成で、彼の過去や仕事仲間との関係、家族への想いが少しずつ明かされていきます。
笑いながら読み進めているうちに、ふと胸に刺さるような場面に出会い、気がつけば静かな感動に包まれる——そんな一冊です。
読書初心者にもおすすめの理由
- 短編のように区切って読める構成
- 全体はゆるやかにつながっていますが、各章が独立したエピソードとして楽しめるため、まとまった読書時間がなくても読みやすいです。
- 会話中心のテンポが良い文章
- 伊坂幸太郎さんらしい軽妙な会話やテンポの良さが特徴で、難解な表現や専門用語もなく、スラスラ読めます。
- キャラに親しみやすく、感情移入しやすい
- 殺し屋という設定ながら、家では気弱なお父さんというギャップが魅力。深刻すぎないので、読書のハードルが低いのもポイントです。
感想:殺し屋なのに、なぜこんなに愛おしいのか。
伊坂幸太郎さんの『AX』は、殺し屋でありながら“妻には頭が上がらない”という、どこか人間くさい主人公を描いた異色の物語です。
一見シリアスなテーマのようでいて、どこかユーモラスで、でも芯にはしっかりとした哀しみと愛がある。まさに伊坂ワールドの真骨頂。
主人公は「兜(カブト)」という伝説的な殺し屋。
けれど家庭では、気が弱くて口うるさい妻にビクビクしながら生きている。
仕事では冷静沈着、家庭ではヘタレ。そんなギャップに、読めば読むほど惹かれてしまいます。
短編が連なるような構成ながら、それぞれの話が巧妙に絡み合い、最後には一本の筋がスッと浮かび上がる構成は見事。
エンタメ小説としても一級品ですが、「家族とは」「死とは」「自分らしく生きるとは」といったテーマもそっと投げかけてくれます。
笑えて、泣けて、考えさせられる。
読後に「この人の人生、意外と悪くなかったのかもしれない」と思わせてくれる、温かな余韻が残る一冊です。
“なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「グラスホッパー」伊坂幸太郎
実は「AX」は「グラスホッパー」、「マリアビートル」と合わせて殺し屋3部作と言われています。
「AX」を読破したあなたは初期に書かれた「グラスホッパー」も、きっと気に入るはず。
まとめ
“殺し屋もの”なのに、こんなにもあたたかくて、思わず笑ってしまう。
そして読後には、胸の奥がじんわり温かくなる。
伊坂幸太郎『AX』は、日常の中に潜む非日常と、非日常の中にある愛情を描いた傑作です。
読書に慣れていない方にもぜひ手に取っていただきたい一冊。
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