【ネタバレなし】『ストーリー・セラー(有川浩)』感想|読みやすくて心に残る恋愛小説|読書初心者にもおすすめ

心が動いた本

このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。

「もしも、愛する人の命が限られていたら——」
そんな究極の問いかけに、真正面から向き合った物語がここにあります。

有川浩さんの『ストーリー・セラー』は、「書くこと」と「愛すること」が交差する、ふたつの“もしも”の世界を描いた一冊。
小説家とその恋人という関係を軸に、命の終わりとどう向き合うのか、人を愛するとは何かを静かに問いかけてきます。

ページをめくるたび、言葉の一つひとつが胸に刺さり、そしてあたたかく沁みていきます。

書籍の基本情報

  • 著者:有川浩
  • 出版社:幻冬舎文庫
  • 出版年:2015年
  • ページ数:265ページ
  • 映像化:なし

こんな人におすすめ

  • パートナーとの関係を大切にしている人
  • 小説を書く人、創作活動に関心がある人
  • 泣けるけれど、あたたかさが残る物語が好きな人

あらすじ(ネタバレなし)

『ストーリー・セラー』は、“もしも大切な人が病に侵されてしまったら”というテーマを軸にした、ふたつの恋愛ストーリーで構成されています。

1本目の物語では、作家である彼女と、その恋人である彼が登場します。
病を抱えた彼女は、「書くこと」が自分の人生でありながら、それが彼にとって苦しみになることを知っています。
ふたりは愛し合いながらも、未来への選択に揺れ動きます。

2本目の物語は、同じ設定をベースにしながらも視点や結末が異なります。
それぞれの「愛のかたち」「覚悟の仕方」が、静かに語られます。

どちらの物語も、日常の中にある小さな選択や、限られた時間の中で交わされる言葉を丁寧に描いており、
読み手の心にやさしく、でも確かな余韻を残してくれる作品です。

読書初心者にもおすすめの理由

  • 文体が平易で読みやすい
  • 短編2本構成で気軽に読みやすい(それぞれ100ページほど)
  • 情景より”感情”が中心なので共感しやすい

感想:「愛すること」と「書くこと」は、どこまで両立できるのか。

『ストーリー・セラー』は、有川浩さんが「小説家としての覚悟」と「パートナーへの愛情」を真っ直ぐに描いた二つの物語です。

この作品は「ふたつのストーリー」で構成されており、どちらも小説家である“彼女”と、彼女を愛する“彼”の視点から物語が進みます。
一方では、病に侵されていく彼女の姿。もう一方では、書くことを続けることで彼を苦しめていく彼女の心の葛藤。
どちらも「愛しているからこそ伝えられない本音」に満ちていて、胸を締めつけられます。

文章はやさしく読みやすく、特別な前提知識も不要。けれど、読了後には心の奥にずっしりと残る余韻があります。

「大切な人が、目の前からいなくなってしまったら」
「その人が、“書く”という生き方を手放さなければならなくなったら」

そんな“もしも”に真っ正面から向き合った、有川浩さんの優しくも鋭いまなざしが詰まった作品です。

”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ

  • 「レインツリーの国」有川浩

同じ有川浩さんの作品で、大切な人に自分の気持ちを伝えたくなる温かい読後感の作品です。

良かったら読書記録も見てみてください。

まとめ

「書くことが、あなたを幸せにしないのなら——」
そんな痛切な問いが、物語を通して投げかけられます。

愛すること、支えること、失うことのすべてが、ありのままに描かれていて、読みながら何度も涙がこぼれそうになりました。

読書に慣れていない方にも読みやすく、心にそっと残る一冊です。
大切な人を思い浮かべながら、ぜひ読んでみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました