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赤ちゃんを「返してほしい」という電話が、静かに家族の過去を揺るがしていく。
辻村深月さんの『朝が来る』は、「特別養子縁組」をテーマに、ある家族とひとりの少女の交差する物語を描いた作品です。
重い題材ながら、読みやすく繊細な筆致で、読み手の心にじわじわと染み込む。
「親になるとはどういうことか?」を深く考えさせられる一冊です。
書籍の基本情報
- 著者:辻村深月
- 出版社:文藝春秋
- 出版年:2018年
- ページ数:368ページ
- 映像化:映画化(2020年)
こんな人におすすめ
- 血のつながりではない“親子の絆”に関心がある人
- 家族や命をテーマにした深い小説を読みたい人
- 読書初心者だけど感情を揺さぶる作品に出会いたい人
あらすじ(ネタバレなし)
不妊治療の末、特別養子縁組というかたちで男の子を迎えた佐都子と清和。
穏やかで幸せな日々を過ごしていたある日、佐都子のもとに1本の電話がかかってくる。
「子どもを返してほしい」
受話器の向こうの女性は、自分こそがその子の“本当の母親”だと言う。
突然告げられた過去。
それは、家族の中で忘れかけていた「もうひとつの物語」のはじまりだった——。
血のつながりとはなにか。
親であるとはどういうことか。
ふたつの家族の視点から描かれる、静かで切実な“再生”の物語。
読書初心者にもおすすめの理由
- 文体がやさしく、感情に寄り添ってくれる
- ボリュームがちょうどよく、テンポも穏やか
- テーマが身近で”自分ごと”として考えやすい
感想:親になるとはどういうことか?
子どもを授かること、生むこと、育てること。
私たちは、当たり前のようでいて深く考えることの少ない「親になる」というテーマに、辻村深月さんは静かに、でも鋭く切り込んでいきます。
物語の冒頭で、平穏に見える家庭にかかってくる一本の電話。
「子どもを返してほしい」——この一言が、登場人物たちの過去と心の深部を静かに暴きはじめます。
作品に流れる空気はとても繊細で、派手な展開はありません。
でもだからこそ、心の機微や想いの重なりが一層リアルに響いてくるのです。
語られない想い、埋められない傷、それでも人は誰かと手を取りながら生きていこうとする。
特に子どもを産んだ側の少女に対して読み進めるうちに、「どうしてそんな選択を?」と感じる場面があるかもしれません。
でも、彼女の過去や想いが丁寧に描かれていて、最後にはしっかりと“朝”が訪れます。
ぜひ、途中で判断せず、最後まで読んでみてほしい一冊です。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「ツナグ」辻村深月
辻村深月の作品で同じく映画化になった作品。
死者に一夜だけ再会できるとしたら、あなたならどうしますか?
まとめ
「親になる」って、血のつながりだけじゃない。
誰かと向き合い、寄り添い、受け入れることなのかもしれない。
辻村深月さんの『朝が来る』は、そんな“静かな問い”を読者に優しく投げかけてくれる物語です。
物語の余白に心を揺さぶられたあと、自分の大切な人の顔がふと浮かびました。
読書が久しぶりの方にも、きっと最後まで優しく寄り添ってくれる一冊です。
気になった方は、ぜひページを開いてみてください。
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