伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』あらすじとネタバレなし感想文|社会の歪みをと正義を描く伏線回収が見事な群像劇

心が動いた本

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伊坂幸太郎さんの『火星に住むつもりかい?』は、監視と密告が支配する架空の都市・仙台を舞台にしたディストピア小説です。

平和警察による不条理な支配の中で、人々の正義や葛藤が交錯し、読者に「本当の正しさとは何か?」を問いかけます。アイロニーとユーモアが絶妙に織り交ぜられた群像劇は、伊坂作品ならではの構成美と伏線回収が光る一冊。社会の歪みに気づきながらも、希望を探す物語として、深い読後感を残します。

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書籍の基本情報

  • 著者:伊坂幸太郎
  • 出版社:光文社
  • 出版年:2018年
  • ページ数:512ページ
  • 映像化:なし

こんな人におすすめ

  • 伊坂幸太郎さんの作品が好きな人
  • 伏線が張り巡らされてされている作品でなぞ解きをしたい人
  • アイロニーに満ちた作品を読みたい人

あらすじ(ネタバレなし)

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」から濡れ衣などで「危険人物」と指定された者は捕まってしまいます。

様々な事件が起こる中で全身つなぎのヒーローが怪しげなボールで窮地に陥った人を助けていきます。

でも助ける人と助けない人がいるのです。

その差は何?そもそもこの人物は誰?そのボールは?

謎がありすぎて、登場人物全員が怪しく見えてきます。。。

「火星に住むつもりかい」が読みやすい理由

  • エンタメ性と社会風刺が絶妙に融合しており、難しいテーマでもスラスラ読める
  • 文体自体は面白いのにテーマが難しいという読み応えがある
  • 著者自身が代表作と言っているとおり、伊坂幸太郎さんワールド全開なので、この本を端緒にいろいろ読み進められる

読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力

  • ディストピア×群像劇の融合が見事です  
    • 監視と密告が支配する架空の都市・仙台を舞台に、複数の登場人物の視点が交錯する構成がスリリングで読み応えがあります。
  • アイロニーとユーモアが絶妙に織り交ぜられています  
    • 不条理な世界の中でも、伊坂作品らしい軽妙な会話や皮肉が効いていて、重いテーマでも読みやすさがあります。
  • 伏線回収が鮮やかで、読後に満足感があります  
    • 細かく張り巡らされた伏線が後半で一気に回収される展開は、伊坂幸太郎さんの真骨頂。何度も読み返したくなる構成です。

注意点

  • 序盤は不条理な描写が多く、読むのがつらく感じることがあります
    • 冤罪や密告による処刑など、胸が痛むシーンが続くため、気分によっては重く感じるかもしれません。
  • 登場人物が多く、関係性の把握に時間がかかります  
    • 群像劇のため、人物のつながりや背景を整理しながら読む必要があります。
  • 社会風刺が強く、テーマが重めです  
    • 現代社会へのメッセージ性が強く、娯楽小説として読むと戸惑う読者もいるかもしれません。

感想

前半部分は濡れ衣で危険人物と指定されてしまった人の捕まってしまうシーンなど辛い部分が多く、読みにくいと感じる人も、もしかしたらいるかもしれません。

ただ、伊坂幸太郎さんの作品などで伏線が張り巡らされていることは明らかなので、逃さないように読もうと必死でした。

この物語のシチュエーションは架空のものですが、現在のネットで匿名で意見が言えてしまい、誰かを傷つけていることやそれをたくさんの人が見ているのに助けない状況を表しているのだろうと感じました。

”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ

  • 伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

まとめ

『火星に住むつもりかい?』は、伊坂幸太郎さんが描くディストピア社会を舞台にした、アイロニーとユーモアが交錯する群像劇です。
監視と密告が支配する不条理な世界で、正義とは何かを問い直す物語は、現代社会への鋭いメッセージにもなっています。
伏線の妙や構成の巧みさは伊坂作品ならでは。
エンタメ性と社会性が融合した、読み応えたっぷりの一冊です。
伊坂ワールドの真骨頂を味わいたい方におすすめです!

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伊坂幸太郎作品の感想記事ページはこちら

ルミエール
ルミエール

伊坂幸太郎作品、伏線回収が心地よくて大好きです。
たくさん読んでいるので、ぜひ、お気に入り作品を見つけてください。

→伊坂幸太郎作品の感想記事ページはこちら

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