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「もし一度だけ、亡くなった人に会えるとしたら――」
辻村深月の『ツナグ』は、死者と生者をつなぐ“使者”の存在を軸に、さまざまな人々の再会と心の葛藤を描いた連作長編小説です。
人生の後悔、愛情、赦し――一夜限りの邂逅が、読者の心に静かに染み渡ります。
書籍の基本情報

- 著者:辻村深月
- 出版社:新潮社
- 出版年:2012年
- ページ数:448ページ
- 映像化:映画化(2012年)
こんな人におすすめ

- 感動系の物語で涙したい人
- 死者との再会というテーマに惹かれる人
- 人間の内面や葛藤を丁寧に描いた作品が好きな人
あらすじ(ネタバレなし)

“ツナグ”とは、生者と死者を一度だけ引き合わせる仲介人。
使者としての役割を担う高校生・歩美は、依頼者の願いを受け、亡き人との再会を仲介していく。
突然死したアイドルに会いたいOL、母に最後の言葉を伝えられなかった息子、親友への嫉妬に苦しむ女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員―― それぞれの再会は、癒しだけでなく、痛みや真実とも向き合う時間となる。
そして歩美自身も、“誰に会いたいか”という問いに向き合うことになる。
「ツナグ」が読みやすい理由

- 連作短編形式で、1話ずつ完結していて読みやすい
- 登場人物の感情が丁寧に描かれていて共感しやすい
- 死者との再会という設定が明快で、物語に入り込みやすい
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- “死者との再会”という切ないテーマ
- 一度だけ亡くなった人に会えるという設定が、読者自身の「会いたい人」を思い出させ、深い感情を呼び起こします
- 連作短編形式で読みやすい
- それぞれの物語が独立していて、少しずつ読み進められる構成。登場人物の感情描写も丁寧で共感しやすいです
- 使者・歩美の視点が優しく誠実
- 高校生の歩美が依頼者と向き合う姿が、物語全体に静かな温もりを与えていて、読後に優しい余韻が残ります
注意点
- 再会が必ずしも癒しになるとは限らない
- 感動だけでなく、痛みや後悔と向き合う場面も多く、読後に心がざわつくこともあります
- ファンタジー要素に抵抗がある場合も
- 死者と会えるという非現実的な設定が中心なので、リアル志向の読者には入り込みづらい可能性があります
- 一部の話は“イヤミス”的な展開も
- 「親友の心得」など、救いのない結末が含まれている話もあり、読後に重さを感じる方もいるかもしれません
感想

『ツナグ』は、静かで深い感動が心に残る作品でした。
死者との再会という非現実的な設定なのに、登場人物たちの感情はとてもリアルで、読者自身の“会いたい人”を思い出させてくれます。
再会が必ずしも癒しになるとは限らない――その現実を突きつけながらも、希望や赦しの余地を残してくれる構成が秀逸。
登場人物の“いい人”な面だけでなく、誰にも見せない弱さやずるさまで描かれていて、読んでいて何度も「わかる…」と心がざわつきました。 辻村深月さんの人物描写は、まるで自分自身の奥底を見透かされているような感覚になります。
歩美という使者の視点も、物語全体に優しさと誠実さを与えていて、読後には静かな涙とともに「生きること」への肯定感が残ります。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「傲慢と善良」辻村深月
婚活を通じての人間のリアルを描いた作品。
まとめ
『ツナグ』は、死者との再会を通して、生者が自分自身と向き合う物語。 感動と切なさが交錯する一夜の邂逅が、読者の心に深く刻まれます。
人生に迷ったとき、誰かに会いたくなったとき――
そっと寄り添ってくれる一冊です。
ぜひ、あなたの“会いたい人”を思いながら読んでみてください。
ルミエールのつぶやき
「もし一度だけ、亡くなった人に会えるとしたら――」
誰に会うかなぁ。
私なら、その後もいつでも会えると思って、最期に会ったときに適当な会話をしてしまった友だちかな。
でも、一度だけ会えた時に何を話そう?
感動的な再会になるかと思いきや、人間の綺麗なところだけではなく、汚いところも描いてしまうのが、辻村深月作品。
「人間をしっかり見つめたい」と思うときに読んでみてください。
辻村深月作品の感想記事ページ

辻村深月作品、人間の良いところも悪いところも書いていて深く考えさせられます。
→辻村深月作品の感想記事ページはこちら




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