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「東京オリンピックを中止しろ。さもなくば爆破する」――
奥田英朗『オリンピックの身代金』は、1964年の東京オリンピック直前に起きた架空の爆破事件を軸に、犯人と警察の攻防、そして社会の格差と理不尽を描いた社会派サスペンス。
華やかな五輪の裏で、光の届かない場所に生きる人々の声なき叫びが響く。
犯人の動機に迫ることで、読者自身の価値観が揺さぶられる、重厚で読み応えのある一冊です。
書籍の基本情報

- 著者:奥田英朗
- 出版社:講談社
- 出版年:2008年
- ページ数:480ページ(上巻)432ページ(下巻)
- 映像化:ドラマ化(2013年)
こんな人におすすめ

- 社会の格差や理不尽に切り込む骨太な小説を読みたい人
- 昭和の時代背景や東京オリンピックに興味がある人
- 犯人の心理や動機に深く迫るサスペンスが好きな人
あらすじ(ネタバレなし)

1964年、東京オリンピック開幕を目前に控えた日本。
警視庁に届いた一通の脅迫状――「オリンピックを妨害する」。
同時に発生した爆破事件をきっかけに、警察は極秘裏に捜査を開始。
捜査線上に浮かび上がったのは、東大大学院生・島崎国男。
彼は秋田の貧しい村の出身で、兄の死をきっかけに建設現場で働き、社会の理不尽さを肌で知ることになる。
犯人の動機と警察の執念が交錯する中、物語は東京の光と影を浮かび上がらせていく――。
「オリンピックの身代金」が読みやすい理由

- 犯人と警察の視点が交互に描かれ、緊張感が持続する
- 昭和の街並みや社会背景の描写がリアルで没入感がある
- 長編ながらも章ごとの展開が明快で、読み進めやすい構成
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- 東京オリンピックという国家的イベントを背景にしたスケールの大きさ
- 犯人の思想や動機が丁寧に描かれ、社会への問いかけが深い
- 階層社会の断絶や格差のリアリティが、現代にも通じるテーマ
注意点
- 犯人が早い段階で判明するため、純粋なミステリーではない
- 社会派要素が強く、軽快なエンタメを期待すると重く感じる
- 昭和の時代背景に馴染みがないと、理解に時間がかかる場面もある
感想

『オリンピックの身代金』は、社会の光と影を真正面から描いた、私の人生観を揺るがした一冊でした。
自分は今、良い企業に就職できている。 でもその裏で、社会の根幹を支えてくれている人たちが、理不尽な環境で苦しんでいる。
この本を読んで、「自分だけが楽をして、良い給料をもらっていていいのか」と、初めて本気で悩みました。
社会の仕組みを変えるにはどうすればいいのか――そんな問いを、ずっと考えるようになったのです。
島崎国男の行動は、決して肯定できるものではない。
でも、彼の怒りや悲しみの根底にあるものは、痛いほどわかる気がしました。
なぜ彼は、正当な方法を選ばなかったのか。
もし自分が彼のそばにいたら、冷静に意見を伝えられたかもしれない。 彼の相棒になって、別の道を一緒に探せたかもしれない―― そんな思いが、読後ずっと胸に残っています。
この作品は、ただのサスペンスではなく、“社会に置き去りにされた声”に耳を傾けるきっかけをくれました。 今の自分の立場や価値観を見直す、かけがえのない読書体験でした。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「護られなかった者たちへ」中山七里
社会福祉制度について、読者に問う社会派小説。怒りも葛藤も切なさも感じ、心の中にいろんな感情が渦巻く。
まとめ
『オリンピックの身代金』は、東京五輪の裏で起きた爆破事件を通して、社会の格差と理不尽に鋭く切り込む奥田英朗の社会派長編。
犯人・島崎国男の行動は決して肯定できない。
それでも、彼が抱えていた怒りや悲しみは、今の社会にも通じるものがある。
この作品を読んで、自分の立場や社会の仕組みに疑問を持ち、「変えたい」と本気で思った。
もし彼のそばにいたら、違う道を一緒に探せたかもしれない――そんな思いが残る、人生観を揺さぶる一冊です。
社会の“光と影”を見つめ直したい人に、ぜひ読んでほしい作品です。
ルミエールのつぶやき
本当に本当にこの本が好き。
結構、要領よく過ごせる方なので、島崎に近い気がしていて、同じような疑問を抱いた。
自分が何のために生きたらいいのか、考えて、社会の仕組みを変えていきたいと思えた。
島崎を肯定するわけではないけど、「何のために生きればよいのか?」を深く考えられる本。
奥田英朗作品の感想記事ページはこちら

奥田英朗作品、社会派小説からコメディまで範囲広すぎ!
楽しめる一冊が見つかるはず。
→奥田英朗作品の感想記事ページはこちら




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