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小説家はどうやって仕事を受けて、どう考えて、作品が出来上がっていくんだろう?
そう思ったことはないですか?
なかなか、その作品過程を知ることはできませんが、朝井リョウさんの「発注いただきました!」では普段明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えたときの著者自身の解説が載っているという不思議で、かつ、読書好きにとっては垂涎ものの本となっています。
Amazonのレビュー★4.1も納得の内容👇
書籍の基本情報

- 著者:朝井リョウ
- 出版社:集英社
- 出版年:2022年
- ページ数:472ページ
- 映像化:なし
こんな人におすすめ

- 活字が苦手だけど、何か読みやすいものから始めたい
- 仕事にモヤモヤしていて気分転換したい
- クスっと笑える”人間味ある本”を探している
あらすじ(ネタバレなし)

作家・朝井リョウさんが「雑誌や企業から依頼された文章=発注」をまとめたエッセイ集。
でも単なる仕事記録ではなく朝井さんの”仕事との向き合い方”や”自分の価値観”がにじみ出る、ユーモアとリアルの絶妙なバランスが光る一冊です。
特に心に残ったのはこのあたり:
- どんな依頼も、面倒がらず”真剣に楽しむ”姿勢(バラエティに富んだ発注内容も面白い)
- テーマによって全然違う語り口が使い分けられていて、飽きずに読める
①「発注元起業名」、「お題」、「使用媒体」、「テーマ」、「文字数指定」などの発注内容
②その結果のタイトルと小説
③朝井リョウさん自身の感想
という流れで20篇が掲載されています
例えば、
「発注元:森永製菓」、「お題:キャラメルが登場する掌編 全三話」、「使用媒体:森永ミルクキャラメルパッケージ」
【発注内容】
- 人間を主人公とした、キャラメルが登場する小説
- 「森永ミルクキャラメル」のイメージである「懐かしい」「親しみがある」「ほっと一息できる」「幸せな気分になる」といった世界観を主軸として、読後に「いいよね、キャラメル」と思えるような心温まるストーリー
- 文字数は、247文字×三話分。三箱揃えれば一つの物語が楽しめるという仕組み
出来上がった小説のタイトルは「タイムリミット」
さて、どんな内容でしょうか?
「発注いただきました!」が読みやすい理由

- 1話完結の短編形式で気軽に読める
- 著名企業からの発注からどんな作品ができるのか?がとにかく面白い
- 笑えて、でもちょっと考えさせられる絶妙な温度感
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- “企業案件”で書かれた短編が読めるユニークな構成です
- 森永製菓やJTなど、実在企業からの依頼に応じて書かれた作品+著者の解説がセットになっていて、創作の舞台裏まで楽しめます。
- ジャンルも語り口もバラエティ豊かで飽きません
- 掌編からエッセイまで、テーマに応じて文体も変化。朝井リョウさんの“引き出しの多さ”に驚かされます。
- “働くこと”や“書くこと”への向き合い方が垣間見えます
- ただのタイアップ集ではなく、仕事への姿勢や人間味がにじみ出ていて、笑えてちょっと考えさせられる内容です。
注意点
- 作品ごとに世界観が変わるため、感情移入しづらい場合もあります
- 短編形式でジャンルが多岐にわたるため、じっくり浸りたいタイプの読者には物足りないかもしれません。
- “企業案件”という前提に違和感を覚える人もいます
- 商業性と創作のバランスに敏感な読者には、タイアップという形式が気になるかもしれません。
- 一部の作品はクセが強く、好みが分かれる可能性があります
- 朝井さんらしい毒や皮肉が効いた話もあり、軽い気持ちで読むと驚く場面もあるかも…?
感想

やっぱりプロはすごいな、と素直に思える。
発注内容に対して「そう来たか!」とうなりまくった。
その中でもJTが発注した『たばこが作中に登場する、「人生の相棒」をテーマにした小説 全四話』が気に入った。
何を「人生の相棒」にしたのかは、読んでからのお楽しみ。
発注内容で読後感を「●●と思える」など入っていなかった場合、朝井リョウさんワールドになるのも面白い。
朝井リョウさんは人間をきれいごとにしないので、普段見ないようにしているダークな部分をえぐって、表に出してくる。
かと思えば、爽やかに心ほっこりの作品もあるので、まさに多才。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 朝井リョウ「チア男子」
“こんな人が書く小説ってどんななんだろう?”と思ったあなたに―― フィクションの世界でも“リアルな人間模様”が光る『チア男子!!』。ぶつかりながらも前を向く、熱くて不器用な青春がここにあります。
まとめ
『発注いただきました!』は、ただのエッセイ集ではありません。 企業や雑誌からの“発注”に対して、朝井リョウがどんな切り口で応え、どんな物語を紡いだのか――その舞台裏まで覗ける、創作のドキュメントであり、ユーモアと人間味が詰まった短編集です。
キャラメルのパッケージに載せる掌編から、JTの「人生の相棒」をテーマにした連作まで、発注内容の幅広さと、それに応える朝井リョウの柔軟さ・鋭さに驚かされます。 笑えるのに、どこか刺さる。軽やかなのに、深い。そんな絶妙な温度感がクセになる一冊です。
読書初心者にもおすすめ。1話完結で気軽に読めて、仕事や創作に向き合う姿勢に元気をもらえる。 “働くこと”や“書くこと”にモヤモヤしている人こそ、ぜひ手に取ってみてください。
朝井リョウ作品の感想記事ページ

朝井リョウ作品って、軽やかな文体で人間の暗いところも含めた心理を描く秀逸作品が多いですよね。
お気に入り作品が見つかりますように。
→朝井リョウ作品の感想記事ページはこちら




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