ミステリー

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伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』感想文|喋るカカシが導く異世界ミステリー

「未来が見えるカカシが殺された――」 伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』は、地図にない孤島“荻島”を舞台に、常識が通用しない世界と、そこに迷い込んだ青年の物語が展開される異色のミステリー。 ファンタジー、哲学、社会風刺が絶妙に絡み...
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宮部みゆき『火車』感想文|消費社会の闇を描く衝撃の社会派ミステリー【Audibleあり】

「火車」とは、罪人を乗せて地獄へ運ぶという伝承の乗り物。 宮部みゆきの『火車』は、そんなタイトルにふさわしく、現代社会の“見えない地獄”を描いた社会派ミステリーです。 クレジットカード、ローン、個人情報――便利さの裏に潜む罠に巻き込まれた人...
ミステリー

伊坂幸太郎『重力ピエロ』感想文|家族と正義を描く静かな衝撃のミステリー

「春が二階から落ちてきた」――そんな印象的な書き出しから始まる『重力ピエロ』は、ミステリーでありながら、家族の絆と人間の本質に深く切り込む物語。 放火事件の謎を追う兄弟の姿を通して、読者は“正義とは何か”“血縁とは何か”という問いに向き合う...
ミステリー

東川篤哉『密室に向かって撃て』感想文|笑えて本格!密室殺人の傑作ミステリー

「密室殺人」と聞いて、重厚な推理劇を思い浮かべる人も多いはず。 でも、東川篤哉の『密室に向かって撃て』は違います。 笑えるのに本格、軽快なのに緻密――そんな“お笑い本格ミステリー”の真骨頂がここにあります。 烏賊川市シリーズ第2弾として、探...
エッセイ

西丸與一『法医学教室との別れ』感想文|検死8,000体から見えた命の記録

検死・解剖8,000体、監察医として40年――。 西丸與一が法医学教室を去るにあたり綴った『法医学教室との別れ』は、命と向き合い続けた医師の静かな回顧録です。 事件の裏側、死者の声、そして医療と社会の狭間で揺れる人間の姿が、淡々とした語り口...
ミステリー

東野圭吾『マスカレード・ナイト』感想文|仮面の下に潜む真実を暴くホテルミステリー|「マスカレード」シリーズ第3弾

華やかなホテルのカウントダウンパーティーに、殺人犯が紛れ込んでいる――。 『マスカレード・ナイト』は、東野圭吾による人気シリーズ第3弾。 ホテルマンに扮した刑事・新田とコンシェルジュ・山岸が、仮面舞踏会の裏で繰り広げられる謎と人間模様に挑み...
ミステリー

東野圭吾『マスカレード・イブ』感想文|ホテルと刑事の前日譚ミステリー|「マスカレード」シリーズ第2弾

『マスカレード・ホテル』の前日譚として描かれた『マスカレード・イブ』は、ホテルマン・山岸尚美と刑事・新田浩介がまだ新人だった頃の物語。 4編の短編を通して、二人の成長と“仮面”に隠された人間模様が描かれます。 シリーズファンはもちろん、初め...
ミステリー

辻村深月「太陽の坐る場所」感想文|記憶と視線が交錯する青春ミステリー

「あなたは、あの子のことを覚えていますか?」 辻村深月の『太陽の坐る場所』は、卒業から10年後の同窓会をきっかけに、過去の記憶と視線が交錯する青春群像ミステリー。 誰かを忘れたことがある人、誰かに忘れられたことがある人――そんな“痛み”に静...
ミステリー

冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」感想文|命と向き合う心理ミステリーの傑作

「死にたい」と願う十二人の少年少女が、廃病院に集まった――。 冲方丁が初めて挑んだ現代長編ミステリー『十二人の死にたい子どもたち』は、衝撃的なテーマながらも、繊細な心理描写と緻密な構成で読者を引き込む一冊です。 “死”を語ることで“生”を見...
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湊かなえ『夜行観覧車』感想文|家族の闇と絆が交錯する心理ミステリー【Audibleあり】

「家族とは、こんなにも不安定で、こんなにも強いものなのか」 湊かなえの代表作のひとつ『夜行観覧車』は、高級住宅街で起きた殺人事件を軸に、家族の崩壊と再生を描いた心理ミステリー。事件そのものよりも、登場人物たちの心の揺れや関係性の変化に焦点が...