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乃南アサさんの短編集『岬にて』は、旅先の風景や日常の中に潜む“心の闇”を描いた14編の傑作選です。
中でも「ママは何でも知っている」は、家庭という安心のはずの場所が、じわじわと不穏に変わっていく恐ろしさが際立つ一編。静かな語り口なのに、読後には背筋がゾクッとするような余韻が残ります。
書籍の基本情報
- 著者:乃南アサ
- 出版社:新潮社
- 出版年:2016年
- ページ数:568ページ
- 映像化:なし
こんな人におすすめ
- 家庭や人間関係の裏側に興味がある方
- 心理描写が巧みな短編をじっくり味わいたい方
- 日常に潜むサスペンスが好きな方
あらすじ(ネタバレなし)
14篇の短編集ですが、すべて女性の恐ろしさがテーマになっています。その中の1篇「ママは何でも知っている」について、あらすじ(ネタバレなし)をご紹介します。
「ママは何でも知っている」は、美術教師の優次が、若く美しい同僚と婚約し、彼女の両親と同居することになるところから始まります。両親は明るくフレンドリーで、「パパ」「ママ」と呼んでほしいと優次に語りかけます。最初は理想的な家族のように見えたその関係が、ある日を境に少しずつ歪み始めます。風呂場に裸の義母が現れ、「親子で入りましょう」と言い出す場面から、読者は一気に不穏な空気に引き込まれます。家庭の中で起こる“異常”が、日常の皮をかぶって静かに進行していく恐怖が、この作品の最大の魅力です。
「岬にて」が読みやすい理由
- 1話完結の短編形式で、少しずつ読み進められる
- 舞台や人物が多彩で、飽きずに楽しめる構成
- 文章が丁寧で、心理描写が自然に心に染みる
感想
「ママは何でも知っている」は、読んでいて何度も「えっ…」と声が漏れそうになるほどの衝撃がありました。表面的には穏やかな家庭の中に、じわじわと広がる違和感。乃南アサさんの筆致は、静かでありながら鋭く、読者の心に深く刺さります。他の作品もそれぞれに女性の心の揺れや葛藤が描かれていて、短編ながら濃密な読書体験ができました。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 乃南アサ『すれ違う背中を』
女性ならではの心の機微をやさしい言葉で書いてある作品。日々の生活に感謝したくなります。
→「すれ違う背中を」の感想記事ページはこちら
まとめ
『岬にて』は、日常の中に潜む“異常”を描いた短編が詰まった一冊です。特に「ママは何でも知っている」は、家庭という場所の怖さを見事に描いた傑作。心理描写の巧みさと、読後の余韻が忘れられない作品ばかりなので、ぜひ手に取ってみてください!
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