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よしもとばななの代表作『キッチン』は、喪失の痛みと人とのつながりを、静かで優しい筆致で描いた心に残る一冊。
台所という空間を通して、主人公の再生の物語がそっと語られます。
今回はその魅力をたっぷり紹介します。
書籍の基本情報

- 著者:よしもとばなな
- 出版社:新潮社、角川文庫、ベネッセコーポレーション
- 出版年:1988年
- ページ数:226ページ
- 映像化:映画化(1989年)
こんな人におすすめ

- 大切な人を失った経験がある人
- 静かで温かい物語に癒されたい人
- 家族や人とのつながりを見つめ直したい人
あらすじ(ネタバレなし)

よしもとばななの『キッチン』は、喪失と再生をテーマにした3編の短編集です。
表題作「キッチン」では、祖母を亡くし天涯孤独となったみかげが、青年・雄一とその母(元父)えり子と暮らす中で、台所という空間を通して心を癒していく姿が描かれます。
続編の「満月 キッチン2」では、えり子の死をきっかけに再び揺れるみかげと雄一の関係が描かれ、みかげが“カツ丼”を通して雄一の心に寄り添おうとするラストが印象的です。
「ムーンライト・シャドウ」は、恋人を亡くした女性が不思議な出会いを通して喪失を乗り越えていく物語。幻想的で切ない余韻が残る一編です。
3つの物語はそれぞれ異なる形で“別れ”と“癒し”を描き、読む人の心に静かに寄り添ってくれます。
「キッチン」が読みやすい理由

- 短編で構成されていて、テンポが良い
- 会話文が自然で、登場人物の感情が伝わりやすい
- 日常の描写が丁寧で、情景が浮かびやすい
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- 喪失と再生を描く静かな感動
大切な人を失った主人公が、台所という“癒しの場”を通じて心を取り戻していく物語。
静かで優しい筆致が、読む人の心にそっと寄り添います。 - 血縁を超えた“家族”のかたち
主人公みかげと、雄一・えり子との奇妙で温かな共同生活が、「家族とは何か?」を問いかけてくる。
現代にも通じるテーマです。 - 時代を超えて共感される普遍性
1988年の作品なのに、今の若い世代にも読み継がれているのは、孤独や癒しといったテーマが時代を超えて響くから。
SNSでも再評価されてます。
注意点
- 大きな事件は起きない“静かな物語”
派手な展開やサスペンスを期待すると、物足りなく感じるかもしれません。
心の機微や余白を味わうタイプの作品です。 - 死や喪失がテーマなので心が揺れるかも
祖母や恋人の死など、喪失の描写が多く、読むタイミングによっては感情を揺さぶられることもあるかもしれません。 - 独特な文体に好みが分かれる可能性
軽やかで口語的な文体が魅力だけど、人によっては“ふわっとしすぎ”と感じることもあるかもしれません。
そこも含めて、ばななワールドと感じてもらえると嬉しいです。
感想

『キッチン』は、静かなのに心に深く染みる作品。みかげの孤独や再生の過程が、台所という空間を通して描かれていて、読んでいるうちに自分の心も整っていくような感覚になります。えり子さんの存在も印象的で、「家族とは何か?」を考えさせられる一冊でした。
最初にみかげが天涯孤独になるのですが、そうなっても生きていかないといけない。料理本を1つずつ作っていって、心が整っていくところが好きです。
3編目のムーンライトシャドウは「会いたい」という気持ちが痛いほど伝わってきて、泣きました。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- よしもとばなな「TUGUMI」
まりあが母とともに伊豆にやってきて、病弱のつぐみやその周りの人たちと一夏過ごす物語。
やわらかい文章で「儚さ」が詰まっており、夏になると読みたくなる!
まとめ
喪失を経験した人にこそ読んでほしい、優しさに満ちた物語。
心が疲れたとき、そっと寄り添ってくれるような一冊です。
ぜひ『キッチン』を手に取って、みかげたちの物語に触れてみてください。
ルミエールのつぶやき
生きるのが嫌になった時に読む本。
だから、数えきれないほど繰り返し読んでる。
本当につらくなった時に読むと、生きるのにはお金が必要だってわかる。
あと料理本に載っている料理を1ページずつ作っていくって、いい方法だなって思う。
あと、えり子さんに自分の悩みを受け止めてもらっている感覚になる。
そして、自分が誰かに救われるかわいそうな立場、もちろん最初はそれでいいんだけど、自分も誰かを救えるっていう心の変化を感じられるとより癒される。
お守りみたいに傍らに置いておいてほしい本。
短編集の感想記事
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