知念実希人『祈りのカルテ 再会のセラピー』感想文|医療と人間ドラマが交差する優しい連作ミステリー【Audibleあり】

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「医師は、患者の“心”も診るべきなのか」――

知念実希人『祈りのカルテ 再会のセラピー』は、研修医・諏訪野良太がさまざまな診療科で出会う患者たちの“謎”と“人生”に向き合う連作ミステリー。
医療現場のリアルな葛藤と、患者の背景にある物語が交差することで、ただの謎解きではない“人間ドラマ”として深く心に残ります。

前作『祈りのカルテ』に続く第2弾で、医師として、人として成長していく諏訪野の姿が描かれます。

書籍の基本情報

  • 著者:知念実希人
  • 出版社:KADOKAWA
  • 出版年:2022年
  • ページ数:248ページ
  • 映像化:ドラマ化(2022年)

こんな人におすすめ

  • 医療現場を舞台にしたヒューマンドラマが好きな人
  • 謎解きと感動が両立する連作ミステリーを求めている人
  • 前作『祈りのカルテ』を読んで諏訪野の成長を追いたい人

あらすじ(ネタバレなし)

学会帰りの諏訪野は、医学生時代の親友・小鳥遊優と再会し、彼の連れである女性研修医・鴻ノ池と飲みに行くことに。
鴻ノ池に研修医時代の話を聞かれた諏訪野は、救急科・形成外科・緩和ケア科での経験を語り始める。
元ヤクザの男性、整形を繰り返す女優、冤罪を訴える末期がん患者―― それぞれの科で出会う患者たちの“謎”を、諏訪野は医師として、そして人として向き合いながら解き明かしていく。
物語は3つのエピソードで構成され、医療と人間の尊厳が静かに問いかけられる。

「祈りのカルテ 再会のセラピー」が読みやすい理由

  • 連作形式で1話ずつ完結するため、気軽に読み進められる
  • 医療用語は平易で、専門知識がなくても理解できる
  • 謎解きと感情描写のバランスが良く、テンポが心地よい

読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力

  • 医療×人間ドラマの融合が深い!
    • 単なる診察記録じゃなくて、患者の“人生”に寄り添う物語が展開されるから、心にじんわり染みる
  • 連作形式で読みやすい
    • 1話完結型の構成だから、忙しい日でも少しずつ読めて、読書のハードルが低いのが嬉しいポイント
  • 主人公の成長が感じられる
    • 諏訪野の優しさや迷いがリアルで、前作よりも人間味が増していて、読者としても一緒に成長してる気分になれる

注意点

  • 医療描写に物足りなさを感じる人も
    • 医療ミステリーとして読むと、謎解きより人間ドラマが中心なので、サスペンスを期待するとちょっと肩透かしかも
  • 感情描写がやや甘めに感じることも
    • 諏訪野の“いい人”ぶりが強調されすぎて、現実味に欠けると感じる読者もいるかも……理想的すぎる医師像と映る
  • シリーズ未読だと背景がわかりづらい場面も
    • 前作や他作品とのつながりがあるから、初読だと「この人誰?」ってなることもあるかもしれない

感想

『祈りのカルテ 再会のセラピー』は、医療の裏側にある“人間の物語”を丁寧に描いた優しいミステリーでした。

諏訪野は、ただ病気を診るだけでなく、患者の心の奥にある“痛み”や“後悔”に寄り添おうとする姿勢が印象的。

特に緩和ケア科のエピソードでは、「医学の目的とは何か」という問いが深く突き刺さります。 冤罪を訴える末期がん患者とのやりとりは、医師としての限界と人としての希望が交錯し、涙なしには読めません。

諏訪野がなぜ人の心に敏感なのか、という背景もわかり、前作より身近に諏訪野を感じることができます。
担当する患者さんも指導医も前作同様に魅力的で、医師って素敵な職業だなと改めて感じることができます。前作よりもさらに人間味が増し、諏訪野の成長が感じられる一冊でした。

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前作が未読でしたら、ぜひこちらも手に取ってみてください。
精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科の研修で出会う患者さんや指導医とのエピソード。

まとめ

『祈りのカルテ 再会のセラピー』は、医療と人間ドラマが融合した連作ミステリー。
諏訪野の優しさと成長、そして患者たちの人生に触れることで、読者自身も“生きること”を考えさせられます。
前作を読んでいなくても楽しめますが、シリーズで読むとより深い感動が味わえます。
医療ミステリー初心者にもおすすめの、心に残る一冊です。

知念実希人作品の感想記事ページ

ルミエール
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知念実希人作品、最近よく読むようになったので、
だんだん増えてきています。

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Audibleのメリット
耳で聴けるから、通勤や家事の合間にも“ながら読書”ができる!

Audibleのデメリット
音声だけだと、細かい表現や漢字のニュアンスがつかみにくいことも…

Audible版『祈りのカルテ 再会のセラピー』では、諏訪野の語りが耳元で静かに響き、患者たちとのやりとりがよりリアルに感じられます。
連作形式なので、1話ずつ聴きやすく、通勤や就寝前の読書タイムにもぴったり。
医療現場の緊張感と人間ドラマの温かさが、声の抑揚によってさらに深く伝わってきます。
感情の揺れを丁寧に表現するナレーションが、物語の余韻を長く残してくれる作品です。

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読書のスタイルが広がるって、ワクワクする!

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