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「国境線なんか俺が消してやる」――
金城一紀『GO』は、在日韓国人の高校生・杉原を主人公に、恋愛・友情・差別・アイデンティティを描いた青春小説です。
直木賞受賞作であり、映画化もされた本作は、社会的テーマを扱いながらも、疾走感とユーモアに満ちた語り口で、読者の心を揺さぶります。
書籍の基本情報
- 著者:金城一紀
- 出版社:KADOKAWA
- 出版年:2000年
- ページ数:240ページ
- 映像化:映画化(2001年)
- 受賞:直木賞受賞
こんな人におすすめ
- 社会的テーマを含んだ青春小説を読みたい人
- アイデンティティや国籍に悩む若者の物語に共感したい人
- 恋愛と友情が交錯する熱量のある物語が好きな人
あらすじ(ネタバレなし)
在日韓国人の高校生・杉原は、民族学校から日本の高校に進学したことで、周囲から“裏切り者”と見なされる。
ボクシングを叩き込まれた父の影響で喧嘩に明け暮れる日々の中、ある日、加藤の誕生日パーティーで桜井という少女と出会う。
ぎこちないながらも惹かれ合う二人。しかし、杉原は自分の“在日”という出自を桜井に打ち明けられずにいた。
親友の死をきっかけに、杉原は自分のアイデンティティと向き合い、桜井との関係にも大きな決断を迫られる――。
この本が読みやすい理由
- 一人称の語りが軽快で、テンポよく進む
- 会話が自然でユーモアがあり、重いテーマも読みやすい
- 若者の視点で描かれているため、感情移入しやすい
感想
『GO』は、在日という社会的立場を持つ主人公が、自分のアイデンティティと向き合いながら、恋と友情に揺れる姿を描いた青春小説。
杉原の語りは、ユーモアと怒り、迷いと希望が入り混じっていて、読者の心に直接語りかけてくるような力があります。
杉原が桜井に自分の出自を告白する場面は、勇気と誠実さに満ちていて、胸が熱くなります。
自分の周りに出自に悩んでいると思われる人がいないため、読書を通じて初めて知ることができた世界。社会的なテーマを扱いながらも、説教臭くならず、あくまで“ひとりの青年の物語”として描き切った筆力に圧倒されました。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「砂の器」松本清張
青春小説と社会派ミステリーで重さや構成が全然違いますが、”出自”をテーマに次は「砂の器」を読んでみてはいかがでしょうか。
同じ”出自”というテーマでも、「GO」の杉原が自分の出自を語る勇気を持ったのに対し、「砂の器」の和賀はそれを隠すために罪を犯した。選択の違いが人生をどう変えるかーーその対比が面白いと感じられると思います。
まとめ
『GO』は、青春の痛みと希望、そして“自分らしく生きること”の意味を問いかけてくる物語。
在日というテーマに触れたことがない人にも、杉原の言葉と行動はきっと心に響くはずです。
直木賞受賞作としての完成度はもちろん、映画化されたことでさらに多くの人に届いた名作。
ぜひ、あなた自身の“国境線”を見つめ直すきっかけとして読んでみてください。
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