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「殺し屋が主人公」と聞いて、血なまぐさい物語を想像するかもしれません。
でも伊坂幸太郎の『グラスホッパー』は、そんな予想を軽やかに裏切る。 ユーモアと哲学、テンポの良さと人間味が絶妙に混ざり合った、殺し屋シリーズの第一作。
裏社会を舞台にしながらも、どこかポップで、どこか切ない。そんな伊坂ワールドが全開の一冊です。
伊坂幸太郎「殺し屋シリーズ」は全4作。「グラスホッパー」「マリアビートル」「AX」「777」
書籍の基本情報

- 著者:伊坂幸太郎
- 出版社:KADOKAWA
- 出版年:2007年
- ページ数:352ページ
- 映像化:映画化(2015年)
こんな人におすすめ

- ハードボイルドな世界観にユーモアを求める人
- 群像劇で複数の視点を楽しみたい人
- 伊坂幸太郎作品の“軽妙さと深さ”を味わいたい人
あらすじ(ネタバレなし)

元教師の鈴木は、妻をひき逃げで殺した男への復讐を誓い、裏社会の企業「フロントライン」に潜入する。
しかしその男は、事故に見せかけて殺人を行う「押し屋」によって殺されてしまう。
復讐の機会を奪われた鈴木は、押し屋の正体を探るため動き出す。
同じ頃、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの殺し屋・蝉も、それぞれの目的で押し屋を追っていた。
三者三様の視点が交錯し、物語は予測不能な展開へと加速していく――。
「グラスホッパー」が読みやすい理由

- 三人の視点が交互に描かれ、テンポよく進む構成
- 会話が軽快でユーモアがあり、重さを感じさせない
- 章ごとに短く区切られていて、長編でも読みやすい
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- 殺し屋たちの群像劇が新鮮
- 元教師・鈴木、自殺専門の鯨、ナイフ使いの蝉など、異なる背景を持つキャラクターたちの視点が交錯し、物語に深みとスリルを与えています
- ユーモアと哲学が絶妙に融合
- 重いテーマを扱いながらも、軽妙な会話や独特のユーモアが随所に散りばめられており、伊坂作品らしい“軽さと深さ”が味わえます
- テンポの良い構成で読みやすい
- 章ごとに視点が切り替わり、短く区切られているため、長編でもテンポよく読み進められます
注意点
- 登場人物が多く、序盤は混乱しやすい
- 複数の視点が交互に展開されるため、慣れるまでは人物関係を把握するのに少し時間がかかるかもしれません
- 殺し屋が主人公という設定に抵抗がある場合も
- 倫理的にグレーな世界観が舞台なので、リアル志向や道徳的な物語を好む方には合わない可能性があります
- 伏線や象徴が多く、読み慣れていないと難解に感じることも
- 比喩や象徴的なセリフが多く、読解に少しコツがいる場面もあります。深読みが好きな方には魅力ですが、軽く読みたい方にはやや重たく感じるかもしれません
感想

『グラスホッパー』は、殺し屋という非日常の存在を通して、人間の孤独や選択の重さを描いた群像劇。息をもつかせぬ展開でページをめくらせてくれます。
鈴木の復讐心、鯨の罪の意識、蝉の無邪気さ――それぞれの人物が抱える背景が、物語に深みを与えています。 この背景を知ってしまうとそれぞれが愛すべきキャラクターに変身し、それぞれの行動を応援したいようなしたくないような複雑な心理になります。
伊坂幸太郎は、シリアスなテーマを扱いながらも、会話や構成にユーモアを織り交ぜることで、読者を飽きさせない。 特に蝉と岩西の掛け合いは、殺し屋の世界にいるとは思えないほど軽妙で、読んでいて思わず笑ってしまう場面も。
「死んでるみたいに生きたくない」という鈴木の言葉が、物語の核として静かに響きます。 殺し屋小説でありながら、どこか哲学的で、どこか人間的。そんな伊坂作品らしい魅力が詰まった一冊でした。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「マリアビートル」伊坂幸太郎
殺し屋シリーズ第二作。
殺し屋シリーズは「グラスホッパー」→「マリアビートル」→「AX」→「777」と読むのがおすすめ。
→「AX」の感想記事ページはこちら
まとめ
『グラスホッパー』は、殺し屋たちの視点が交錯する予測不能な群像劇。
ハードな設定ながらも、ユーモアと人間味が絶妙に混ざり合い、読後には静かな余韻が残ります。
伊坂幸太郎作品の入口としても最適で、続編『マリアビートル』『AX』『777』へと読み進める楽しみも。
殺し屋小説の枠を超えた、心に残る一冊です。
伊坂幸太郎作品の感想記事ページはこちら

伊坂幸太郎作品、伏線回収が心地よくて大好きです。
たくさん読んでいるので、ぜひ、お気に入り作品を見つけてください。
→伊坂幸太郎作品の感想記事ページはこちら
Audibleでも聴けます

Audibleのメリット
耳で聴けるから、通勤や家事の合間にも“ながら読書”ができる!
Audibleのデメリット
音声だけだと、細かい表現や漢字のニュアンスがつかみにくいことも…
Audible版『グラスホッパー』では、原島梢さんの朗読が物語の緊張感とユーモアを絶妙に表現しています。 再生時間は約10時間。通勤・通学中や家事の合間にもぴったりな“聴く読書”体験が可能です。
殺し屋たちの視点が交錯する群像劇は、声で聴くことでより臨場感が増し、登場人物の個性が際立ちます。 特に蝉と岩西の軽妙な掛け合いや、鈴木の真面目さが声を通してリアルに伝わり、読書とはまた違った深みが味わえます。
Audible会員なら聴き放題対象作品なので、無料体験から気軽に始められるのも魅力。 伊坂作品のテンポ感やセリフの妙を、ぜひ耳で楽しんでみてください。
→Audible版はこちら
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