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「九歳の夏、わたしは死んだ。」
そんな一文から始まる乙一のデビュー作『夏と花火と私の死体』は、死体の視点で語られる異色のホラー小説。
無邪気さと狂気が交錯する子供たちの4日間を描いた物語は、読む者の心に冷たい衝撃を残します。
書籍の基本情報

- 著者:乙一
- 出版社:集英社
- 出版年:2000年
- ページ数:224ページ
- 映像化:なし
こんな人におすすめ

- ホラーやサスペンスが好きで、斬新な語り口に惹かれる人
- 短編でも深い心理描写を味わいたい人
- 乙一作品の原点に触れてみたい人
あらすじ(ネタバレなし)

夏休み、9歳の少女「わたし」は親友に殺されてしまう。
物語はその死体の視点で進行し、兄妹による死体隠しの4日間が描かれる。
子供ならではの衝動と恐怖、そして静かな狂気が、読者を不穏な世界へと誘う。
「夏と花火と私の死体」が読みやすい理由

- 死体目線という独特な語りが、物語に引き込む力を持っている
- 短編ながら構成が緻密で、無駄がない展開
- 子供の視点だからこそ描ける純粋さと残酷さがリアル
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- 死体目線という斬新な語り口
- 物語は、殺された少女自身の視点で進行します。冷静で淡々とした語りが、かえって不気味さと独特のユーモアを生み出しています
- 子どもの無邪気さと狂気の対比
- 加害者も被害者も子どもという設定が、純粋さと残酷さを同時に描き出し、読者に強烈な印象を残します
- 短編ながら緻密な構成
- ページ数は少ないものの、伏線や心理描写が巧みに織り込まれており、読後に「うまい」と唸る完成度です
注意点
- 読後感が重く、後を引く
- ホラーやサスペンスとしての怖さよりも、子どもたちの行動の“救いのなさ”が心に残り、人によってはつらく感じるかもしれません
- 倫理的なモヤモヤが残る可能性
- 事件の真相や登場人物の行動に明確な裁きが下らないため、読者自身がどう受け止めるかを問われます
- ホラーとしての期待とはズレる場合も
- いわゆる“お化け”や“恐怖演出”ではなく、静かな不気味さが中心なので、スリルや派手な展開を求める方には物足りないかもしれません
感想

読み始めた瞬間から、語り手が「死体」であるという異常さに引き込まれました。
子供たちの無邪気な残酷さと、静かに進行する死体隠しの緊張感が絶妙。
ラストに向かうにつれて、読者の心にじわじわと不安が広がり、読後には冷たい余韻が残ります。
でも、ホラーが苦手な自分でも読めたので、いわゆる恐怖ではないです。しかし子供という純粋さが逆に救いがたい気持ち悪さを連れてきます。
乙一の才能が炸裂した一冊であり、彼の作風の原点とも言える作品です。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「暗いところで待ち合わせ」乙一
乙一作品でも、優しい気持ちになれる作品。読後は周りの人の優しさをより強く感じられるはず。
→「暗いところで待ち合わせ」感想記事はこちら
まとめ
ホラー好きはもちろん、文学的な完成度を求める読者にもおすすめの一冊。
乙一の衝撃的なデビュー作を、ぜひあなたの本棚に加えてみてください!
Audibleでも聴けます

Audibleのメリット
耳で聴けるから、通勤や家事の合間にも“ながら読書”ができる!
Audibleのデメリット
音声だけだと、細かい表現や漢字のニュアンスがつかみにくいことも…
『夏と花火と私の死体』は、Audible版でも配信されていて、耳で聴くと物語の緊張感や不穏な空気がよりリアルに伝わってきます。
死体目線の語りが声で表現されることで、読書とはまた違ったゾクッとする体験ができるのが魅力。通勤中や夜のリラックスタイムにもぴったり!
ホラー好きもそうでない人も、ぜひ聴いてみてください
→Audible版はこちら
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