吉本ばなな『TUGUMI』あらすじとネタバレなし感想文|病弱な少女と海辺の夏が描く青春の光と影

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病弱で毒舌、でもどこか憎めない少女・つぐみ。

吉本ばななの『TUGUMI』は、海辺の町で過ごす最後の夏を舞台に、若者たちの揺れる心と絆を描いた青春小説です。
静かな時間の中に、痛みと優しさが交錯する――そんな“記憶のような物語”が、読む人の心にそっと残ります。

書籍の基本情報

  • 著者:吉本ばなな
  • 出版社:中央公論新社
  • 出版年:1989年
  • ページ数:237ページ
  • 映像化:映画化(1990年)

こんな人におすすめ

  • 美しい風景描写と繊細な心理描写を味わいたい人
  • 思春期の友情や家族との関係に共感できる人
  • 吉本ばななの初期作品に触れてみたい人

あらすじ(ネタバレなし)

主人公・まりあは、大学生活を送る東京から、故郷の海辺の町へ夏休みに帰省する。
そこで再会するのは、病弱でわがまま、でもどこか魅力的な従姉妹・つぐみ。
つぐみの家族や、姉の陽子、そして新たに出会う青年・恭一との交流を通して、まりあは“最後の夏”を過ごす。
楽しいだけではない、切なさと成長が詰まった時間が、静かに流れていく。

「TUGUMI」が読みやすい理由

  • 文章が平易でリズムがよく、感情に自然と入り込める
  • 登場人物が少なく、関係性が明快で理解しやすい
  • 風景描写が美しく、情景が頭に浮かびやすい

読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力

  • 風景描写と心理描写の美しさ
    • 海辺の町の情景がまるで記憶の中の風景のように描かれ、登場人物の心の揺れが繊細に表現されています
  • 主人公・つぐみの強烈な個性
    • 病弱で毒舌ながらも魅力的なつぐみの存在が、物語に独特の緊張感と温かさをもたらします
  • 読後に残る静かな余韻
    • 青春の一瞬を切り取ったような物語が、読者自身の“あの頃”を呼び起こし、心に深く残ります

注意点

  • 物語の起伏が穏やかで、展開に物足りなさを感じる場合も
    • 大きな事件や劇的な展開が少なく、静かな物語を好まない読者には退屈に映る可能性があります
  • つぐみの性格に共感しづらい読者もいる
    • 彼女の毒舌やわがままが強く描かれているため、読者によっては不快に感じることもあります
  • 青春小説としての感傷性が強く、好みが分かれる
    • 感情の揺れや別れの匂いを丁寧に描く作風は、淡々とした読書を好む方には合わない場合があります

感想

『TUGUMI』は、読むたびに違う感情が湧き上がる不思議な作品です。
つぐみの毒舌やわがままに振り回されながらも、彼女の“生きる力”に心を動かされる。
海辺の町の描写は、まるで記憶の中の風景のように懐かしく、夜の波音や夏の空気まで感じられるほど。
青春の一瞬を切り取ったような物語は、読者自身の“あの頃”をそっと呼び起こしてくれます。
静かで、でも確かに胸を打つ――そんな読書体験が待っています。

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まとめ

『TUGUMI』は、病弱な少女とその周囲の人々が織りなす、ひと夏の青春物語。
吉本ばななの透明感ある文体と、切なくも温かい人間描写が光る名作です。
人生の節目に、ふと読み返したくなる一冊。
あなたの“記憶の海辺”を探しに、ぜひ手に取ってみてください。

ルミエールのつぶやき

夏になるとTUGUMIが読みたくなる。

伊豆の海の情景が浮かんで、旅館で働く母親たちを見ながら、学校に通ったり、宿題したり、アルバイトしたり、したかったなって。

日々の些細なことをじっくり味わっている文章が素敵で、その仲間に自分も入りたいなって思わせてくれる。

でも、客観的にみると、つぐみは病弱でいつ死ぬかわからない状態だし、まりあは複雑な家庭環境、恭一とつぐみだって大人の事情からみるとロミオとジュリエットだし。

そんな客観的な事情はさておいて、日々は進むし、一つ一つの出来事を味わったらいいって教えてくれる。

「いろんなことが嫌になって、何もしたくない」っていうときに読むと、「まぁ、いいや。とりあえず、生きておこう」って思える本。

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