このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。
「あなたは、あの子のことを覚えていますか?」
辻村深月の『太陽の坐る場所』は、卒業から10年後の同窓会をきっかけに、過去の記憶と視線が交錯する青春群像ミステリー。
誰かを忘れたことがある人、誰かに忘れられたことがある人――そんな“痛み”に静かに寄り添う物語です。
書籍の基本情報

- 著者:辻村深月
- 出版社:文藝春秋
- 出版年:2011年
- ページ数:400ページ
- 映像化:映画化(2014年)
こんな人におすすめ

- 学生時代の人間関係にモヤモヤした記憶がある人
- 心理描写の深い青春小説を読みたい人
- 映像化作品の原作をじっくり味わいたい人
あらすじ(ネタバレなし)

高校卒業から10年。
クラス会を開いた元同級生たちは、次回こそ“あの子”を呼ぼうと話し合う。
その“あの子”とは、かつてクラスの中心にいたはずなのに、今では誰も連絡先を知らない存在。
彼女はなぜ忘れられたのか?誰が、どうして、彼女を“見えない場所”に追いやったのか?
複数の視点で語られる物語は、過去の記憶と現在の感情が交錯しながら、静かに真実へと向かっていく。
「太陽の坐る場所」が読みやすい理由

- 章ごとに語り手が変わる構成で、テンポよく読める
- 会話や心理描写が自然で、感情移入しやすい
- 謎解き要素が程よく散りばめられ、読者の興味を引き続ける
読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力
- “忘れられた存在”に光を当てる構成
- 高校卒業から10年後の同窓会をきっかけに、かつてクラスの中心だったはずの人物がなぜ誰にも思い出されなくなったのか――その謎を複数の視点で描いていく群像劇です
- 心理描写が繊細でリアル
- 嫉妬、優越感、劣等感…学生時代の人間関係に潜む感情が丁寧に描かれていて、「あの頃の自分」を思い出さずにはいられません
- 章ごとに語り手が変わるテンポの良さ
- 視点が切り替わることで飽きずに読める構成になっていて、少しずつ真実が明かされていく展開が魅力です
注意点
- 陰湿な描写に心がざわつく可能性
- いじめや裏切りなど、学生時代の“見えない暴力”がリアルに描かれているため、読後に重さが残ることもあります
- 登場人物の多さと関係性に混乱しやすい
- 複数の語り手と同級生たちの関係が複雑なので、整理しながら読む必要があります
- “救い”がすぐに訪れない構成
- 物語は静かに進行し、明るい展開やスカッとする解決は少なめ。読者によってはもどかしさを感じるかもしれません
感想

『太陽の坐る場所』は、誰もが経験する“見えない関係性”を丁寧に描いた作品でした。
学生時代の記憶は美しいだけではなく、時に残酷で、誰かを傷つけていることに気づかないまま過ぎていく。
辻村深月は、その“見えなかった痛み”を、静かに、でも確かに浮かび上がらせてくれます。
複数の語り手によって少しずつ明かされる真実は、読者自身の記憶にも問いを投げかけてくるようでした。
高校時代の苦しい人間関係がありありと思い出されました。
正直、リンちゃんと清瀬くん以外は好きになれない。。。
でも読後には、誰かのことを思い出したくなる――そんな救いのある余韻が残る一冊でした。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「凍りのくじら」辻村深月
高校生の時の狭い範囲の世界しかないと思い込んでいた苦しくモヤモヤした感覚を思い出させてくれる本。
「凍りのくじら」感想記事はこちら👇

まとめ
『太陽の坐る場所』は、忘れられた誰かの視点から“青春”を見つめ直す、静かな衝撃を持つ物語。
人間関係の記憶に揺さぶられたい人、過去と向き合いたい人にこそ読んでほしい一冊です。
辻村深月の繊細な筆致が、あなたの心の奥に眠る“あの頃”をそっと呼び起こしてくれるはず。
ルミエールのつぶやき
誰かに見栄を張ったり、狭い世界に絶望したり、友だちとの関係がこの世のすべてだと思ったり、そういう思春期や地方都市の暗い部分を否応なしにあぶりださせる作品でした。
読んでいる間中、心がざわざわする。
私自身は、高校時代が大好きで、基本的にはキラキラした時期という位置づけ。でも、やっぱり学校や家族だけが自分の世界のすべてという感覚はあって、息苦しかったのはあったし、友だちとの関係で一喜一憂するのはあったから、ざわざわしてた。
ちょっと読書に慣れてきた時期に読むと表現の仕方が広がる本。
辻村深月作品の感想記事ページ

辻村深月作品、人間の良いところも悪いところも書いていて深く考えさせられます。
→辻村深月作品の感想記事ページはこちら
次に読むならこちら





コメント