本城雅人『ミッドナイト・ジャーナル』あらすじとネタバレなし感想文|7年越しの真実に挑む記者の執念が光る社会派サスペンス

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報道の正義とは何か。記者の使命とは何か。

『ミッドナイト・ジャーナル』は、誤報によって人生を狂わされた新聞記者が、7年越しの真実に挑む社会派サスペンスです。
著者・本城雅人自身が元新聞記者ということもあり、現場の空気感や人間模様が圧倒的なリアリティで描かれています。
報道の裏側にある葛藤と執念が、読む者の心を揺さぶります。

書籍の基本情報

  • 著者:本城雅人
  • 出版社:講談社
  • 出版年:2017年
  • ページ数:480ページ
  • 映像化:ドラマ化(2018年)

こんな人におすすめ

  • 社会派ミステリーや報道ドラマが好きな人
  • 人間ドラマに深く入り込みたい人
  • 実際の報道現場に近いリアルな描写を求める人

あらすじ(ネタバレなし)

かつて児童誘拐殺害事件で誤報を打ち、社会部から支局へ左遷された記者・関口豪太郎。
7年後、埼玉で起きた女児誘拐未遂事件に、かつての事件との関連性を感じた彼は、再び真相を追い始める。
過去の傷と向き合いながら、記者としての矜持を胸に、関口は“あの時”の真実に迫っていく。

「ミッドナイト・ジャーナル」が読みやすい理由

  • 実際の記者経験に基づいたリアルな描写で没入感が高い
  • 事件と人間ドラマがバランスよく絡み、テンポよく読める
  • 登場人物の心理描写が丁寧で共感しやすい

読む前に知っておきたい魅力と注意点

魅力

  • 記者のリアルな現場が描かれています  
    • 元新聞記者の著者ならではの経験が活かされていて、夜討ち朝駆けの取材、警察との駆け引きなど、報道の裏側が臨場感たっぷりに描かれています
  • 誤報と責任をめぐる重厚なテーマ  
    • 過去の大誤報と向き合いながら、真実を追い続ける記者たちの姿が胸を打ちます。報道の意義や信頼について深く考えさせられる作品です
  • ヒューマンドラマとしても読み応えがあります  
    • 記者同士の絆や葛藤、組織の論理と個人の信念のぶつかり合いなど、人間ドラマとしても熱量のある物語になっています

注意点

  • 専門用語や業界知識が多めです  
    • 新聞業界や警察取材の用語が頻出するため、慣れていないと最初は少し戸惑うかもしれません
  • テンポはややスローに感じることもあります  
    • 派手な展開よりも地道な取材や心理描写が中心なので、スピード感を求める読者には物足りなく感じる可能性があります
  • 事件のモデルが現実に近く、重い読後感が残ることも  
    • 実際の事件を思わせる描写があり、内容もシリアスなので、読むタイミングには少し注意が必要です

感想

『ミッドナイト・ジャーナル』は、ただの事件追跡小説ではありません。

誤報という“罪”を背負った記者が、報道の意味を問い直しながら、執念で真実に迫っていく姿が胸を打ちます。
関口の不器用で頑固な人間性が、逆に報道の本質を浮かび上がらせてきます。
ネットニュースが主流となった今、紙媒体の記者たちがどんな思いで記事を書いているのか、その裏側を垣間見ることができます。
報道とは、誰かの人生を左右する“刃”にもなり得ます。
だからこそ、記者の覚悟と責任が問われる。そんな重みを感じさせる一冊でした。

”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ

  • 『クライマーズ・ハイ』横山秀夫

日航機墜落事故に対する新聞記者の奮闘の1週間を描いた作品。

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まとめ

『ミッドナイト・ジャーナル』は、報道の正義と人間の葛藤を描いた社会派サスペンスの傑作です。
事件の真相を追うスリリングな展開と、記者たちの熱量が交錯する濃密な物語。
報道の裏側にある“人間”を知りたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

ルミエールのつぶやき

報道って、人の人生を変えてしまうんだなと、恐ろしくなった。

それをわかって仕事している報道パーソンの責任感の重さずっしりと感じさせる物語。

飄々としているように見える関口だけど、報道パーソンとしての信念はちゃんと持ち合わせている。

これを読んで、新聞やテレビなどの報道を仕事にしたいと思ってくれる学生さんが増えたらいいな。

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