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「家族とは、こんなにも不安定で、こんなにも強いものなのか」 湊かなえの代表作のひとつ『夜行観覧車』は、高級住宅街で起きた殺人事件を軸に、家族の崩壊と再生を描いた心理ミステリー。事件そのものよりも、登場人物たちの心の揺れや関係性の変化に焦点が当てられており、読者の心に深く刺さる作品です。ドラマ化もされた話題作で、湊作品の中でも特に“人間の本質”に迫る一冊です。
書籍の基本情報
- 著者:湊かなえ
- 出版社:双葉社
- 出版年:2013年
- ページ数:384ページ
- 映像化:ドラマ化(2013年)
こんな人におすすめ
- 家族や人間関係の心理描写に惹かれる人
- ミステリーよりも人間ドラマを重視したい人
- 湊かなえ作品を初めて読む人にもおすすめ
あらすじ(ネタバレなし)
高級住宅街・ひばりヶ丘で起きた殺人事件。被害者はエリート一家の父親、そして容疑者は母親――。
事件をきっかけに、周囲の家族たちの関係性も揺らぎ始める。 誰が本当のことを語っているのか。誰が何を隠しているのか。 観覧車のように回り続ける感情の中で、読者は“家族”という名の迷路に迷い込む。
「夜行観覧車」が読みやすい理由
- 登場人物の視点が章ごとに切り替わり、構成がわかりやすい
- 会話や描写が自然で、感情移入しやすい文体
- ミステリー要素が強すぎず、心理描写が中心で読みやすい
感想
『夜行観覧車』は、事件の謎を解くというよりも、事件を通して人々の心の奥底を覗き込むような作品でした。
特に印象的だったのは、彩花が言った「坂道病」。
これは「足元が傾いているような気分になってきて、踏ん張り続けているうちに自分が傾いていることにも気づかなくなり、ふとしたことで転がり落ちてしまう」こと。
これを作品の中では問題児として書かれている彩花が言っており、誰が普通なのか、一見した感じではわからないということをこの作品を通じて強く感じました。
隣人の事件をきっかけに、自分の家族にも目を向けざるを得なくなる展開は、読者自身にも問いかけてくるようでした。
湊かなえらしい“静かな狂気”と“救いのない優しさ”が混ざり合い、読後には複雑な余韻が残ります。 でも遠藤家はこれでよかったのではないでしょうか。
”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ
- 「希望ヶ丘の人びと(上・下)」重松清
テーマは違うけれども、希望が丘とひばりが丘は似ていて、坂の上ほどステータスが高い、坂の下の方は落ちこぼれの状態です。
新興住宅街は作家さんから見ると、創作意欲を掻き立てられるんでしょうかね。
→「希望ヶ丘の人びと」感想記事ページはこちら
まとめ
『夜行観覧車』は、家族という閉ざされた空間の中で起きる感情の揺れを描いた心理ミステリー。 事件の真相だけでなく、人間関係の機微に触れることで、読者自身の心にも問いを投げかけてきます。 湊かなえ作品の入門編としても、深く味わいたい一冊としてもおすすめです。
湊かなえ作品の感想記事ページ
→湊かなえ作品の感想記事ページはこちら
Audibleでも聴けます(ナレーターは安田章大さん!)
紙の本でも心を揺さぶる『夜行観覧車』ですが、Audible版ではその世界観がさらに深く、鮮明に広がります。 ナレーター・安田章大さんの朗読は、登場人物の感情の揺れや家庭の空気感を繊細に表現しており、まるでドラマを“聴いている”ような臨場感。 複数の人物視点で進む物語も、声の使い分けによって混乱なくスムーズに理解でき、感情移入しやすい構成になっています。
再生時間は約9時間53分。通勤・通学中や家事の合間、夜のリラックスタイムにもぴったり。 Audible会員なら聴き放題対象作品なので、初回無料体験から気軽に始められます。
こんな人にAudible版がおすすめ
- 湊かなえ作品を“声”で味わいたい人
- 家族ドラマや心理描写をじっくり聴きたい人
- スキマ時間に物語の世界に浸りたい人
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