冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」感想文|命と向き合う心理ミステリーの傑作

ミステリー

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「死にたい」と願う十二人の少年少女が、廃病院に集まった――。
冲方丁が初めて挑んだ現代長編ミステリー『十二人の死にたい子どもたち』は、衝撃的なテーマながらも、繊細な心理描写と緻密な構成で読者を引き込む一冊です。
“死”を語ることで“生”を見つめ直す、そんな読書体験がここにあります。

書籍の基本情報

  • 著者:冲方丁
  • 出版社:文藝春秋
  • 出版年:2018年
  • ページ数:495ページ
  • 映像化:映画化(2019年)

こんな人におすすめ

  • 心理描写の深いミステリーを読みたい人
  • 若者の葛藤や社会問題に関心がある人
  • クローズドサークル型の物語が好きな人

あらすじ(ネタバレなし)

廃業した病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「集団安楽死」。
それぞれが異なる理由で“死にたい”と願い、全員一致で実行されるはずだった。
しかし、病院には“十三人目”の死体が――。
彼は誰なのか?なぜここにいるのか?
十二人は議論を重ねながら、互いの思いや過去を語り合い、真実に近づいていく。
閉ざされた空間で繰り広げられる心理戦と、命に向き合う対話が物語の核となる。

「十二人の死にたい子どもたち」が読みやすい理由

  • 登場人物の紹介が丁寧で、キャラの把握がしやすい
  • 会話中心の構成でテンポが良く、読み進めやすい
  • 重いテーマながらも文体は平易で、読者に寄り添ってくれる

感想

『十二人の死にたい子どもたち』は、衝撃的なタイトルです。最初は映画化されているのを知り、なぜこんなタイトルの作品を映画化するのか?と憤ったものでしたが、本を読み終わった時、希望を感じることができました。
それぞれが抱える悩みや痛みは決して軽くない。それでも、語り合うことで少しずつ心がほぐれていく様子が丁寧に描かれています。
“死”を選ぼうとする彼らが、“生きる意味”を探していく過程は、読者自身にも問いを投げかけてきます。

ミステリーとしての緊張感と、心理ドラマとしての深みが絶妙に融合した、冲方丁の新境地とも言える一冊でした。

”なんかもう一冊いけそう”なあなたへ

  • 「探偵はぼっちじゃない」坪田侑也

多感な時期、悩みを一人で抱えている人に読んでほしい作品です。

まとめ

『十二人の死にたい子どもたち』は、命に向き合う若者たちの対話を通して、“生きること”の意味を静かに問いかけてくる心理ミステリー。 重いテーマながらも、読後には心が少し軽くなるような不思議な読書体験が待っています。 冲方丁の新たな挑戦を、ぜひあなたの手で確かめてください。

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